LTvz.38
Pz.Kpfw. 38(t) E/F

●トライスター 1/35

トライスターの38（ｔ）Ｅ/Ｆです。実車解説はWikipediaを参照下さい。私は未だにＥ/Ｆの違いが分かっておらず、最新のパンツァートラクツ本には何か書いてありそうですが、未所有なのでわかりません。今度買っておかないどダメですね。

トライスターの38（ｔ）はモデラー的には決定版と呼べる内容で、とても嬉しいキットす。イタレリやマケットのキットを今時のディテールクォリティーまで引き上げるには、かなり工作を覚悟せねばなりませんでしたから。この作品ではフェンダーなどにボイジャーのエッチングパーツを試しに使用していますが、そこまでしなくてもキットに手を加えるだけで充分な出来栄えです。

この作品ではほんの少しディテールアップしただけで、履帯もキット付属のものです。機銃はアーマースケールのものに銃架ごと交換しています。転輪はゴム部の分割はともかく、38（ｔ）転輪独特の球面上に面沿いでボルト留めしたリム部を、抜きテーパを考慮しつつも上手く再現しており、大変良い出来です。
作品のマーキングは架空のもので、第７装甲師団らしくしてみました。ただ、部隊配備された38（ｔ）は手持ち資料の戦場写真を見る限り、フェンダー上に収納箱を追加するなど各部隊ごとにカスタマイズされているようです。トライスターのキットは有名な工場脇で撮影されたとおぼしき記録写真の姿に近く、この作品ではちょっと考証的に不正確なものとなりました。キットを組む前にマーキングと車体の仕様をよく考察しキットに手を加えることをお薦めします。
キットは大変良く実車を再現しており、Ｇ型とＢ型、マーダー３（Ｈ）のバリエーションが既に発売されています。各キットでは車体前面装甲の違いは勿論、側面装甲厚の違いなどちゃんと再現しています。ただサスペンションの板バネ部前側は実車ではＢ型とＥ/Ｆ＆Ｇ型で仕様に違いがあるのですが、キットでは同じパーツが使われています。拘る向きはこのあたりも再現するとよいでしょう。
機銃はアーマースケールに交換しましたが、照星部分はボイジャーのエッチングを使用しています。作品では銃架を車体色にしていますが、ボール部分から先端にかけて全て黒色に見える写真もあります。作品ではボール部分はＧＳＩクレオスのメタルカラーで組む前に塗装。車体の塗装中はマスキングしておきました。銃は真鍮挽き物なので、せっかくだから黒染めしてみました。ハイライト部分はシルバーで軽くドライブラシです。師団マークはフリーハンドの手描きです。
車外装備品は止め具をボイジャーのエッチングに置き換えていますが、実車の構造がイマイチ理解できず、それらしく適当に仕上げています。ハンマーの柄後半を保持していないので、なんか変ですよね。取り付けていない砲身クリーニングロッド固定金具と共締めなのでは？と思いますね。フェンダー上の車体番号札のマーキングは手描きレタリングです。実車でも手描きっぽい写真がありましたよね？
バルケンクロイツはキットのデカール、砲塔ナンバーはタミヤのデカールセットから流用。タミヤのデカールセットは現在入手難なので、是非再販して欲しいです。出来ればシルク印刷にバージョンアップして・・・、ついでに汎用性のある砲塔ナンバー書体を各色各サイズで欲しい・・・デカール貼りは車体を仕上げてしまってから追加して貼ったので、どうしてもシルバリングしてしまいました。艶消しコートする前にちゃんと貼りましょうね。作品ではニス部分に車体色を筆塗りしてごまかしています。ジャッキ台はキットのモールドを生かしてウォッシング技法で仕上げています。
砲塔上面は汚れが溜まりそうな感じがしたので、タミヤエナメルを主に汚し塗装しています。ちょっと「塗り」ぽっい仕上がりになってしまったので、パステルかピグメントの方がよかったかもしれません。
今更ですが金網とかメッシュ表現にはエッチングパーツの威力絶大ですね。殆ど他の方法では再現不可能ですから。点検ハッチヒンジ上のディテールはエッチングのジャンクパーツから流用して作りました。チェーンもエッチング製で、Ｌ字型の金具は真鍮線で作り立体感を出してやりました。もはやルーペがないと作業できないですね。
排気管のサビ表現は車体色の上から暗いサビ色を筆で叩き付けるように塗り、次にオレンジ色っぽいサビ色を同様に重ね塗りし、車体色部分に白っぽい水色でフィルタリング（染め塗り）して良く乾燥させ、ローアンバー色で墨入れの要領で各部を調整。最後にハンブロールのマットバーニッシュでコートすると重ね塗った凹凸が見えなくなりリアルに仕上がります。
転輪のモールドがいいですね。ホイールとゴム部が別パーツですが、出来れば一体でよいので、リムとゴムとの境界あたりの微妙な形状を再現してくれた方が嬉しかったです。作品では転輪のグリスアップボルトとを赤色のチェックペイントにしてみました。
この作品はＰＧ！誌のナレッジ記事で塗装解説用に組んだものをブラッシュアップして07年の静岡合同展へ持ち込んだ作品です。

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